一般社団法人とは?特徴から設立の流れまでを専門家が解説!

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一般社団法人とは、営利を目的としない非営利団体になります。人の集まりに対して法人格が受けられた団体になります。

一般社団法人は、社団法人の一部になります。社団法人には、一般社団法人と公益社団法人があります。

ここでは、一般社団法人とはどのような組織なのかを詳しく紹介します。一般社団法人に関する基礎知識をはじめ、実際に設立するまでの手続きの流れや方法、一般社団法人を設立するメリット・デメリット、資本金や税金などお金について、それぞれのパートごとに分けて紹介していきます。

一般社団法人とはどのような法人か?

一般社団法人の勘所について動画で解説しました。(視聴時間:7分24秒)

 

一般社団法人は2008年12月1日に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」をもとに設立された社団法人のことを指します。

まずは、一般社団法人とはどのような法人なのかを、つぎの項目の順で確認していきましょう。

1. 一般社団法人とはどのような法人か?

 

2. 一般社団法人を設立するには?

 

3. 一般社団法人の定款を作成し、登記をする

 

4. 一般社団法人の設立に必要な費用は?

 

5. 一般社団法人の社員について

 

6. 一般社団法人の理事について

 

7. 一般社団法人の資本金とは

 

8. 一般社団法人の税金とは

 

9. 一般社団法人の非営利型について

一般社団法人は非営利団体

非営利団体と聞くと、利益を追求してはいけないと思うかもしれませんが、決してそのようなことはありません。株式会社のように、利益を追求して構いません。どんなに儲けても構いません。

「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」で使われている「営利」という言葉の意味は、「利益配分」のことを指します。

一般社団法人は配当はできないが、報酬を出せる

利益に関しては、設立時社員に配当はできませんが、一般社団法人を実際に運営する理事は理事報酬として受け取ることができます。

利益は永く続く組織にするために必要

「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の意味は、「永く続くような社会貢献になる事業をしてほしい」という思いでもあります。しっかりと利益を出さなければ、事業を継続できなくなります。

一般社団法人と株式会社の違い

一般社団法人は非営利団体、株式会社は営利団体。

一般社団法人は、オーナー(創設者・社員)に利益を還元できません。株式会社は、オーナー(株主)に利益を還元できます。

関連記事:『一般社団法人と株式会社の4つの違いを徹底解説

一般社団法人を立ち上げるメリットとは

前述した通り、一般社団法人の活動に関しては株式会社と同等の自由度があります。事業を営むにあたっては、活動に制限がないほうがうまくいく可能性が高まります。

そして、法人登記以外の申請などがないため、設立後に行政などへの許認可や報告義務もありませんので、制約が少なくなります。

また、NPO法人(特定非営利活動法人)では社員(発起人)が10名必要に対して、一般社団法人では2名で設立が可能です。(本人と本人の法人の場合は1人でも可能です)人数が少なければ少ないほど、意見が分かれずにスムーズな運営ができます。

一般社団法人を設立するメリットは、以下の記事に詳しくまとめました。参考にしていただければ幸いです。

一般社団法人を設立する16のメリットと4のデメリット

一般社団法人を設立するには

一般社団法人を設立する際の押さえておきたいポイントを解説します。

一般社団法人設立の費用

一般社団法人の設立にかかる費用の内訳は、以下の通りです。

  •   公証人役場で定款の認証にかかる費用:5万円
  •   法務局に申請にかかる法定費用:6万円
  •   一般社団法人の実印や社員や理事の印鑑証明などにかかる費用:数千円

どんなに少なく見積もっても、12万円程度はかかります。

それ以外にも、人を雇うならば、人件費。事務所を構えるならば、不動産や家賃代。事務所で使う家具、および事務用のOA機器類、文房具代。提供するサービスに使う材料費などがかかります。

関連記事:『一般社団法人の設立費用はいくらかかるのか?

一般社団法人設立の必要書類

一般社団法人を設立するにあたり、必要となる書類は以下の通りです。

  •  定款
  •  一般社団法人設立登記申請書
  •  代表理事就任承諾書
  •  理事就任承諾書
  •  登記すべき事項
  •  設立時理事の選任及び主たる事務所所在場所の決定に関する決議書

一般社団法人設立の登記

一般社団法人の登記とは、定款とその他の必要書類を法務局(登記所)に提出することです。法人の“出生届”になります。

関連記事:『一般社団法人の登記事項と登記の流れ

一般社団法人設立の定款

一般社団法人の定款では、以下の事項を必ずを記載しなければなりません。これを定款の絶対的記載事項と言います。

 一般社団法人の目的

一般社団法人の名称

主たる事務所の所在地

設立時の社員の氏名または名称、および住所

社員の資格の得喪に関する規定

公告方法

事業年度

監事、理事会、会計監査人を置く場合には、その旨の定め

関連記事:『一般社団法人の定款の作り方と記載事項まとめ

一般社団法人設立の期間

一般社団法人の設立にかかる期間は、定款が完成してから、2週間程度で登記が完了します。

一般社団法人設立のメリット

一般社団法人設立のメリットをまとめました。

  •  誰でも登記によって設立できます
  •  社員2名から設立できます
  •  社員は法人でも可
  •  設立時に財産は必要なく、基金制度を採用できます
  •  出資金が不要(0円から設立できます)
  •  社員は一般社団法人の債務について責任は負いません
  •  法人格を持つ団体として信用がつきます
  •  同じ非営利団体のNPO法人に比べて、制約が少ない
  •  設立時に官庁の許認可が不要
  •  設立後も、監督官庁の許認可が不要
  •  事業に制限はありません
  •  収益事業を主な目的とすることができます
  •  公益認定等委員会の認定を受ければ、公益社団法人への移行が可能
  •  法人名義で銀行口座を開設できます
  •  不動産の直接の登記名義人になることができます

一般社団法人設立の人数

一般社団法人の設立には、設立時社員が2名以上必要です。最低人数が2名ですので、2名以上でも構いません。

一般社団法人の設立の流れはこちらの記事でも詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください。

>『一般社団法人設立の流れと11のチェックポイント

>『一般社団法人設立の手続き【9の特徴と13の流れ】

一般社団法人の定款を作成し、登記をする

一般社団法人を設立するにあたって一番の山場は、「定款」を作成する作業です。

一般社団法人設立の要件

一般社団法人は株式会社と同じような活動ができると紹介しましたが、設立の要件などは多少の違いがあります。

「一般社団法人」という名称

一般社団法人を設立するには、「一般社団法人」という名称を前か後ろのどちらかにつけなければなりません。

例)「一般社団法人○○協会」

社員の人数

一般社団法人を設立するには、2人以上の設立時社員(発起人)が必要になります。法人も社員に就任できます。

定款の認証

一般社団法人の定款の認証は、公証人役場で行います。

定款を3部作成し、定款認証を行います。認証の費用には5万円かかります。定款には電子定款認証がありますが、一般社団法人の定款認証には収入印紙代の4万円は不要です。

定款の認証には数日かかります。認証後に法務局へ赴き、登記手続きを行います。法定費用として、6万円かかります。収入印紙を購入して支払います。

定款を法務局に提出した日が、一般社団法人の設立日になります。実際には、そこから2週間前後で正式に手続きが完了します。

理事会の設置

一般社団法人を設立する際、定款の作成に2通りの方法があります。

理事会を設置する方法と理事会を設置しない方法になります。どちらかを選択します。

理事会を設置しない一般社団法人

社員2名以上で、社員総会を行います。理事を1名以上決定します。

理事会を設置する一般社団法人

社員2名以上で、社員総会を行います。

理事を3名以上決定します。そのうち1人が代表理事に就任します。
監事を1名以上決定します。(理事との兼任はできません)

一般社団法人の登記について

>『一般社団法人の登記事項と登記の流れ

>『一般社団法人の定款の作り方と記載事項まとめ

一般社団法人の設立に必要な費用は?

一般社団法人の設立には、費用がかかります。

一般社団法人の設立にかかる法定費用

一般社団法人の設立には、以下の費用がかかります。

公証人役場で定款の認証にかかる費用が5万円
法務局に申請する際に、法定費用が6万円。収入印紙で支払います。

その他、一般社団法人の実印を作成したり、社員や理事に就任する人の印鑑証明、登記完成後に、登記簿謄本や法人の印鑑証明などを釣るのに1万円程度。

どんなに少なく見積もっても、全部で12万円程度はかかります。

一般社団法人の設立にかかる法定費用以外の費用

以下のようなものが初期にかかる費用になります。

  •  スタッフの人件費
  •  事務所の家賃
  •  ウェブサイト
  •  教材や試験問題
  •  パンフレット、名刺など

一般社団法人の社員について

「社員」と言っても、株式会社の社員と一般社団法人の社員はまったく性質が異なります。一般社団法人の社員は、株式会社の「株主」に相当します。一般社団法人の社員には、大事な義務や責任があります。

一般社団法人の社員の人数

一般社団法人の設立においては、社員は2名以上必要となります。

一般社団法人の社員と理事は違う

一般社団法人の社員は、株式会社の「株主」に相当します。

一般社団法人の社員の役割

一般社団法人の社員とは、社員総会において議案を提出したり、その議決に参加したり、議決権を行使する立場の人のことになります。

一般社団法人の社員の報酬

一般社団法人の社員に利益配分はありません。

関連記事:『一般社団法人における社員の立場と役割まとめ

一般社団法人の理事について

「理事」という役職は、「役員」のことです。株式会社の「取締役」に相当します。

一般社団法人の理事の人数

一般社団法人の設立においては、理事は1名以上必要となります。

一般社団法人の理事は社員と兼任できる

一般社団法人の理事は1名以上必要と言いましたが、社員が理事を兼任しても構いません。

一般社団法人の理事の任期

理事の任期は2年です。

一般社団法人の理事の給料

理事の報酬や給料は、絶対的に支払わなければならないものではありません。

一般社団法人の理事の役割

定款に理事会設置を記載した場合には、それに基づいて定期的に理事会を行います。理事会は一般社団法人の実務内容を決定する会議になります。

関連記事:『一般社団法人の理事に関する9の項目と3の関連事項

一般社団法人の資本金とは

一般社団法人のお金について確認していきましょう。

一般社団法人の資本金とは?

「一般社団法人の資本金は、「0円」から設立が可能です。つまり、資本金はなくても設立は可能です。

一般社団法人の資本金は、基金と言う

実は、一般社団法人では、株式会社で使う「資本金」という言葉は存在しません。

一般社団法人では、「基金」「拠出金」という言葉を使います。

関連記事:『一般社団法人の資本金に関する5つのポイント

一般社団法人の税金とは

一般社団法人にかかる税金について見ていきましょう。

一般社団法人の法人税

一般社団法人にかかる税金は、株式会社と同じ法人税率になります。

ただし、一般社団法人の中でも、非営利型一般社団法人と判断されると、収益事業以外の収益に関しては、公益社団法人と同じ非課税となります。具体的には、受講料や会費などは非課税になります。

一般社団法人の税金

収益事業から生じた所得に対する法人税率は、30%

所得金額が年800万円以下の金額は、18%

公益社団法人の税金

収益事業から生じた所得に対して課税、公益目的事業は、非課税。

収益事業から生じた所得に対する法人税率は、30%

所得金額が年800万円以下の金額は、18%

一般社団法人の法人住民税

一般社団法人にかかる法人住民税は、株式会社と同じ均等割になります。

そして、これは個人事業主との違いになりますが、仮に収益が見込めなくとも、年間7万円の法人住民税はかかります。

関連記事:『一般社団法人の税金に関する6つのポイントまとめ

一般社団法人の非営利型について

一般社団法人には、「普通型」「非営利型」の2つのタイプがあります。

その違いは、活動の制限と税制の優遇措置になります。非営利型の一般社団法人は、利益を求めることを目的としない活動を主として行う団体に適用されます。

一般社団法人の普通型と非営利型の税制

一般社団法人の税制上の分類は、以下の通りです。

普通型一般社団法人の税制

普通型一般社団法人とは、全所得が課税対象となる一般社団法人のことを指します。多くはこちらのタイプの法人になります。

普通型一般社団法人は、法人税法上は、株式会社や合同会社と同等に取り扱われます。

非営利型一般社団法人の税制

非営利型一般社団法人は、収益事業により生じた所得のみ課税対象となります。

収益事業の所得のみ法人税が課税されるという意味は、会費や寄付金には課税されない、ということになります。

非営利型一般社団法人は、法人税法上は、「公益社団法人」として取り扱われます。

まとめ

平成20年12月1日に、公益法人制度改革が行われました。112年続いてきた法律の改正でした。その結果、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が新たに制定され、一般社団法人は誰でも登記だけでつくれるようになりました。

一般社団法人は株式会社とは違って、利益が出ても社員や拠出者への配当は禁止されています。利益分配ができません。

理事やスタッフに対して、報酬や給与を支払うことは、事業の運営に必要な管理費として認められています。これは利益配当には該当しません。

一般社団法人設立の流れを簡単にまとめますと、まずは、2人以上の社員を集め、設立のの準備に入ります。その後、法人名を考え、商号を調査します。同じ商号がなければ、一般社団法人の印鑑(実印)を作成します。(同じ商号が存在しても法人を設立することは可能ですが、株式会社と違って、一般社団法人の場合には同じ名前は避けたほうが良いでしょう。)

そして、定款作成し、認証を受け、法務局にて登記申請をします。これが、一般社団法人成立の手順になります。

上記の流れに従って、手続を進めてください。一般社団法人設立にかかる費用は、最低12万円からになります。

最後に、一般社団法人を設立して一番効果が出るポイントは、実は、屋号(任意団体)で活動しているときよりも、法人化することで責任が増し、自分自身に確固たる「覚悟」が生まれることかもしれません。

覚悟が決まることで、考え方や意識が変わり、そして行動が変わります。すると、周りの反応が変わり、大きく拡がります。

社会に貢献できる一般社団法人を設立して、社会起業家として大いに活躍してください。あなたの行動を心から応援いたします。

協会ルネサンス
吉岡岳彦